Surgery
顎矯正手術について
Surgery
顎矯正手術について
手術と聞くと、怖さや痛みを心配される方は少なくありません。
当院では、顎矯正手術を安全に受けていただくため、事前説明を丁寧に行い、
治療内容や術後に起こりうる変化・リスクをしっかりお伝えしています。
また、全身麻酔についても不安を抱くのは自然なことです。
当院では専門の麻酔科医が常に患者さまの状態を確認しながら、負担の少ない麻酔管理を徹底しています。
怖さや疑問があれば、どうぞ遠慮なくお話しください。
安心して治療に臨めるよう、スタッフ一同がしっかりサポートいたします。
Change
術後に必ず起こる変化
腫れ
手術が終わったあとは、顔から首にかけて大きく腫れ上がります。ピークは1週間ほどで、その後は症状が軽くなっていきます。しかし、患者さまによっては完全に腫れが治まるまで数ヵ月かかることもあります。
皮下出血
頬や首、場合によっては胸元にかけて、皮下出血が見られることがあります。皮下出血を起こしたところは青紫色に変わり、さらに時間が経過すると茶色に変化します。2~3週間ほどすると、自然に消失します。
移動した骨の後戻り
手術によって動かした骨は、周囲にある筋肉などの影響によって元の位置に戻ろうとします。これを「後戻り」といいます。術後に矯正治療をして調整を行ないますが、わずかに後戻りすることがあります。
鼻出血、鼻詰まり
上顎の矯正手術後に、鼻出血や鼻詰まりの症状が見られることがあります。一時的な症状ではありますが、必要と判断された場合は止血処置をします。
Risks/complications
手術にともなうリスク・合併症
神経のしびれや感覚の変化
手術では、上顎神経・下歯槽神経などの知覚神経を刺激したり、傷つけたりするリスクがあります。手術を受けた方の多くが、一時的にしびれや感覚の鈍さを覚えますが、時間が経過するとともに回復します。
一方で、10%近い方は1年後も軽い感覚異常が残るとされています。また、きわめてまれではありますが、永久的にしびれが残ることがあります。出血
骨を切開した箇所から出血する可能性があります。事前に必要と判断された場では、自己血を用意して手術に臨みます。手術の際には、まれに輸血が必要となることがあります。術後に再び出血が起きた場合が、再手術をして止血することがあります。
気道の腫れにともなう呼吸困難
術後に気道が腫れると、呼吸しにくくなる場合があります。発生率がとても低い症状ではありますが、もし呼吸困難になったら、チューブを使った呼吸管理や緊急気管切開を検討します。
感染
顎矯正手術はお口の中を手術するため、完全に無菌状態で行なうことはできません。どうしても、術後に感染が起こるリスクが残ります。もし感染が見られた場合は、洗浄処置、プレート除去などを検討します。
皮膚の赤み・傷
手術では、口周りや鼻にテープやチューブが接触します。長い時間そうした状態に置かれるため、術後に赤みや傷が残ることがあります。多くの場合は目立たくなっていきますが、まれに長時間それらが残ることがあります。
顎関節症状
術後、ごくまれに顎関節症状が起こります。関節で音が鳴る、痛みがある、口を開きにくくなるなどの症状が現れることがあります。
顎の関節における骨の変化
手術によって下顎頭(下顎関節の骨)が吸収され、噛み合わせがごくまれに悪化します。その場合、症状に応じた治療を検討します。
皮膚のたるみ
顎を後方へ動かすような手術をした場合に、顎下の皮膚がたるむことがあります。たるみが強い場合は、美容的な処置を追加で行なうことを検討します。
歯の異常
手術箇所に近い歯が影響を受けた場合、歯の神経が弱くなったり、歯根に異常が見られたりする可能性があります。ケースによっては、歯根の治療や抜歯を要します。
発音への影響
手術によって発音が変化することがあります。多くの方は慣れていくことで普通の発音になりますが、もし悪化した場合は、必要に応じて言語療法を受けるとよいでしょう。
鼻や耳の諸症状
手術が終わったあとに鼻を強くかむと、皮下気腫(皮下組織内に空気が溜まって腫れること)を起こすことがあります。鼻の形態がわずかに変化する可能性もあります。また、難聴や中耳炎といった症状が出ることもあります。必要な場合は、耳鼻科での治療を検討します。
睡眠時無呼吸
特に下あごを後方へ動かす手術では、舌をのどの方へ押し込みます。それによって睡眠中の呼吸が不安定になる「睡眠時無呼吸」を発症するリスクが高くなります。治療前に検査をし、睡眠時無呼吸のリスクがどれくらいあるか調べます。
想定外の骨折
手術で骨を切る際、想定していなかった骨折が起こることがあります。骨折した場合、骨を固定するための処置や、顎間固定が必要となるケースがあります。
骨を固定する装置のトラブル
骨を固定するためにプレートやスクリューなどの装置を使います。固定後、これたの装置がずれたり外れたりすることがまれにあります。こうしたトラブルが起きた場合、再固定するための処置をします。
異物の残存
手術で使用した器具の一部が残るリスクです。慎重に手術を行なうのでこのようなケースはまれですが、万が一トラブルが発生した場合は、除去手術をします。
下顎骨骨切り術
下顎枝矢状分割術(SSRO=Sagittal Split Ramus Osteotomy)
下あごが前方に出ている、いわゆる「反対咬合」というしゃくれた状態の不正な歯並びを改善する手術です。
耳の下からエラ(角ばったあごの骨)にかけての下顎枝の両側を内側と外側に分割するように切り、歯列があるほうの骨を後方へ動かします。移動したら金属プレートで固定します。
この手術は骨同士が接触する面積が大きいため回復が早く、術後の後戻りが少なくなります。ただし、手術によって下唇の感覚が一時的に鈍化するリスクがあります。

下顎枝垂直骨切り術(IVRO=Intraoral Vertical Ramus Osteotomy)
両側の下顎枝を縦に切る手術です。神経を傷つけにくい位置で処置できるというメリットがあり、神経障害が起こるリスクを抑えられます。オトガイ神経麻痺などの知覚異常が現れにくく、顎関節への影響も抑えられます。顎関節の機能異常をおもちの方などに適用します。
ただし、骨が接する面積が小さいため、骨が癒合するのに時間がかかります。また、骨を動かせる範囲が少なくなるというデメリットもあります。

下顎前歯部歯槽骨切り術
下顎の前歯部分を後方または垂直方向に動かす手術です。開咬(前歯が噛み合わない)や、下の前歯の傾斜をともなう前突などの顎変形症に適用します。通常は、第1小臼歯を抜いて歯槽骨(歯を支える骨)を切り、それよりも前の骨を後方へ動かします。これによって噛み合わせを整えます。
ただし、部分的な移動に限定されるため、オトガイが突出した感覚が残る場合があります。また、歯の並び方によっては、骨を切るときに隣接している歯を傷つけるおそれがあります。
オトガイ形成術
オトガイは、一般的に顎先や下顎骨の先端のことを指します。オトガイ形成術は、オトガイの骨を動かす、または削除することで形態を整える手術です。オトガイが後退している、または突出していると見た目に大きく影響するほか、睡眠時無呼吸の症状につながるおそれがあります。
このような症状が下顎骨骨切り術で改善しない場合に、オトガイ形成術を検討することがあります。

上顎骨骨切り術
Le Fort(ルフォー)Ⅰ型骨切り術
上あごの骨を鼻腔(鼻の内側の空間)の下でほぼ水平になるように骨切りし、歯が生えているほうの骨と上部の骨を分けて動かして金属プレートで固定する方法です。横から見ると階段状になる切り方で、分離された上顎骨はどの方向にも動かせます。手術は、目の下や口の奥にある神経を傷つけないよう慎重に行ないます。
下あごが著しく前へ出ている、または顔が非対称の症例では、下あごの手術と組み合わせることがあります。

上顎前歯部歯槽骨切り術
奥歯が噛み合っているものの、上顎の前歯の歯並びが乱れている症例に適用します。いわゆる出っ歯などが改善されます。一般的に上の歯の第1小臼歯を抜いてスペースをつくり、歯槽骨を一部切除し、骨を後方または上方へ動かします。前歯の位置や噛み合わせが良くなり、見た目も改善されます。
ただし、歯並びによっては骨を切るときに隣の歯がダメージを受けるおそれがあります。
